絵画道楽のすすめ

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ラファエロ ◆ ラ・フォルナリーナ

画家と恋人たち:ラファエロとラ・フォルナリーナ

ラファエロ死後から60年たったローマにて、
ある1点の絵画が見つかりました。

高貴な者しか埋葬されないというラファエロが眠っているパンティオンにて、
彼の絵『若い婦人の肖像(ラ・フォルナリーナ)』が発見されたのです。

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ラファエロが最後まで手放そうとしなかったために
発見が遅れてしまったといわれている1枚の絵。

絵の右下には、非売品を意味する「E.I」の文字が・・・。


ラファエロは、よほどの想いをこの女性に寄せていたのでしょう。





ラファエロはルネサンスの貴公子といわれていただけあって
その容姿は優れ、画家としては法王に寵愛されるほどの実力者でした。

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そんなラファエロですから女性にも困らないわけがありません。


しかし女性に人気のラファエロにも
大切な1人の女性がいました。

それは、高貴な女性でも類まれな美貌に恵まれた女性でもなく、
ローマ市内でパン屋の娘として働く女性。

冒頭の「ラ・フォルナリーナ」のモデルとされている
マルゲリータ・ルティという女性です。

宮廷画家としてのラファエロにはとても釣り合わないということで
結婚までには至りませんでした。


ラファエロには出世願望がありました。

ダヴィンチやミケランジェロの二大巨匠がいた時代に
なんとか自分も、先輩方と肩を並べるまでになりたいとの想いでしょうか。


ある日ラファエロは、
枢機卿から結婚話を持ち掛けられました。

当時、枢機卿とは地位のある身分です。
しかもただの枢機卿ではなくラファエロを支持する枢機卿の中でも
最も権威のある枢機卿のひとりからの結婚話でした。

その枢機卿から、姪にあたる女性
「マリア・ビッビエーナ」を紹介されます・・・。

出世か?

それとも意中の女性をとるべきか?

ラファエロは、随分と悩み苦しんだと思います・・・。


結果的に、ラファエロはマリアと婚約をしました。

しかし、婚約はしてもラファエロは結婚までには踏み切ることができず、
そうこうしているうちに、マリアは病気を患い亡くなってしまうのです。


ラファエロの罪悪感は相当なものだったと思います。

もっと自分の決断が早ければ、もっと違う結果になっていたのではないかと。。。





「ラ・フォルナリーナ」と構図が似ている絵に、
「ラ・ヴェラータ」という絵があります。

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なんとも素晴らしい。
非常に美しく、そして意味深(?)な作品ですね・・・。

この作品は同じ女性(ラファエロの愛したマルゲリータ)という説がありますが、
僕はこの絵のモデルは、別々の人物ではないかと思っています。

「ラ・フォルナリーナ」はパン屋の娘マルゲリータ。

しかし「ラ・ヴェラータ」は枢機卿の姪マリアではないかと。


「ラ・フォルナリーナ」には
「ラ・ヴェラータ」にあるような高貴さはありません。

しかし、非常に親しみやすい表情をしています。

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腕には「私はラファエロのものです。」
と言わんばかりの「ラファエロ」の名前が掘られた腕輪が。

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薬指には元々、指輪が描かれていたものの
一般公開が決まったとたん、
ラファエロが描き直したとされています。

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この行為からも、パン屋の娘では釣り合わないという批判を恐れ、
そしてその批判から彼女を守るためだったのではないかとも予測されます。

ラファエロはこの絵のモデル「マルゲリータ」を本当に愛していたのでしょうね。

ラファエロはこの作品「ラ・フォルナリーナ」を
決して売らないで欲しいとの思いから

絵の右下に「E.I」(非売品)との文字を残しました・・・。

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対する「ラ・ヴェラータ」は高貴な印象に満ち溢れており、単純に、
地位のある枢機卿の娘といわれてもおかしくありません。

僕は「ラ・ヴェラータ」のモデルとなった女性は、
少し涙ぐんでいるかのようにも見えるのです。

婚約はしたもののラファエロの心には別の女性がいるのではないか?

内からこみあげる「私は選ばれていない」という悲しみを
必死でこらえているかのようにも見えます。

婚礼衣装を身にまとっているものの
婚姻の証である指輪をしていないことを隠している?
かのようにも見えてしまいます。


そしてこの「ラ・ヴェラータ」の表情をよく観察してみると
どこか泣いているかのようにも見えます。

悲しみをこらえ、涙を浮かべているようにも見えなくもありません・・・。

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僕はラファエロがマルゲリータに対して抱いていた気持ちよりも
枢機卿の姪マリアに対して抱いていた感情に興味があります。

政略結婚、権力者の姪というとどうしても
中身のない、お金と権力だけが目的のしたたかな女性を想像しがちです。

しかし、僕の妄想どうり(笑)「ラ・ヴェラータ」がマリアだとしたら
マリアはとても慎ましく品性にあふれた女性だったのではないでしょうか。

そうでなければこれほどまでに美しく描かれることもなかったのでは?
(当時は権力者の自画像をかなり美化して描く風習があったとはいえ)

そしてマリアも、ラファエロのことを本当に愛しており
ラファエロ自身もそれが十分にわかっていたのでは?

だからこそラファエロは罪の意識にさいなまれ、
自分を責める意味でもこのような絵を描かずにはいられなかったのでは。

そう思わずにはいられない、
なんとも胸の苦しくなる作品です。

「ラ・ヴェラータ」は、最も愛していた男性に”選ばれなかった”女性の悲しみを、
見事に表現している作品だとも考えられはしないでしょうか。

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