絵画道楽のすすめ

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マネエドワール・マネ

マネ 「黒の魔術師」

フランス人画家のマネは、クールベの写実主義から印象派への道付けをし、
「印象派の生みの親」とも「近代絵画の父」とも呼ばれています。
パリの日常的な市民生活を主題にし、明るい色調、広く単純な色面の利用、画面全体に及ぶ、生き生きとした筆致で描かれた革新的な画風は、後に印象派に発展するモネ、ルノワールらに大きな影響を与えました。
彼の色使いの特徴である、つやの無いマットな黒、そして彼にしか出来ない独特の色使いから、「黒の魔術師」とも言われています。
当時印象派では、黒は使ってはいけないというルールがあったものの、マネは黒を追求した作品を描き続けました。その生き生きとした表情を持つ黒に、やがて印象派を代表とする画家、ルノワールまで惹かれていくようになったのです。

マネの絵画作品

笛を吹く少年笛を吹く少年
ベラスケスに強く影響を受けたマネ。この作品にもその影響が見て取れます。
マネの有名な言葉、
「人物をひとりだけキャンバスに置き、しかもいかに生き生きと見せることがどれだけ難しいことか。2人の人物を描くことなどそれに比べたら子供の遊び同然だ。」

例えば、楽器でひとつの音を奏でても、それはただの音でしかない。いくつもの音をリズム良く奏でてこそ人に好まれる音楽となります。

マネはいくつもの音が組み合わさった音楽ではなく、ひとつの音で、いかに表情豊かに表現できるかを追求した芸術家といえるのかもしれません。


オランピアオランピア
サロンに出展することに意義を感じていたマネですが、彼の作品はこれまでにない作風のものばかり。
サロンに出展する画家たちは、当時の印象派などに見られる前衛的な画家たちではなく、世間的に認められている、ポピュラーな作品を描くような画家たちです。
サロンへの出展にこだわり続けたマネは、自分の作品がポピュラーでなければならないと言っているかのようです。
「草上の昼食」がサロンに非難を浴び、その2年後にこの作品を出展。

さらにひどい非難を浴びました。(笑)

まずこの作品のタイトルともなっている「オランピア」は、古来より娼婦の名前として扱われていたのです。しかしイヤリングとして身に着けている真珠は、愛の女神ヴィーナスを象徴しているものでもあります。

娼婦とヴィーナスを同化させたような、マネのスキャンダラスな作品。

スリッパは履きかけ。表情は、こちらを挑発してるかのよう。
「悔悛するマグダラのマリア」のように、娼婦であった(とされている)女性が悔い改める様子もないところが、この作品が叩かれる原因にもなったのでしょう。
そして黒人の女性が召使いとして描かれているところから、
人種差別的な要素も含んでいるように思われます。

これは叩かれるのも無理はないですね。(汗)

娼婦とヴィーナスを掛け合わせるというこういった表現は、
現在でこそ、特に若者などにファッション的なスタイルとして
受け入れられるかもしれませんが・・・。(^^;

ちなみにこの「オランピア」で描かれた白人のモデルは、上の「笛を吹く少年」のモデルと同じで、マネの妻でもあった、シュザンヌとされているようです。


エドワール・マネ(Edouard Manet 1832-1883 フランス)
"近代絵画の父"と呼ばれ、印象派の先駆者的存在のマネは、
パリの高級官僚の家に生まれ、父の手ほどきで画家を目指します。

歴史画家トーマ・クチュールに師事、
大作『アブサンを飲む男』は、サロンで落選します。

当時サロンはアカデミーが支配しており、
風俗画や写実的な絵は入選が難しいものでした。

そんな情況で落選者が相当出て芸術家の不満が高まります。
それを伝え聞いた皇帝ナポレオン3世は"落選展"を開催しました。

そこに出品したのがマネの代表作ともいえる『草上の昼食』でした。

二人の男性と、一人の全裸の女性を描いた作品ですが、
批評家たちを激怒させます。
元々彼は、古典的な構図を、古典絵画の巨匠の作品から取り入れ、
近代絵画と融合させる手法をとっていました。
そこが近代絵画の父と呼ばれる所以でもありました。

続いて出した『オランピア』もサロンに出品、
大変な物議を醸し出した作品ですが、
これもティツィアーノの作品の構図で、
ルネサンス時代の横たわるビーナスの形式を受け継いだものです。

マネの作品全体の特徴として印象派では数少ない、
黒を魅惑的に多用した画家でした。
『エミール・ゾラの肖像』『黒い帽子のマルタン夫人』などがその好例です。

マネの後半生は日本の浮世絵と出会い、影響を受け、
ルネサンス以来の遠近法を捨て、平板な表現の人物像を描いています。

その端的な例が、誰もが知っている『笛吹きの少年』です。

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